2024年12月26日株式会社オフィスat
〜女性の力が社会を動かす!「女性視点のマーケティング」が築き上げる社会や企業の未来〜

株式会社オフィスatは「女性の声とチカラを、企業へ 社会へ」というスローガンのもと、女性視点のマーケティングにより企業や社会に新しい市場や価値を生み出す事業を行っている会社です。代表のお二人の原体験に基づく企業活動は、多くの女性の反響を呼び、社会に新たな原動力を生み出しています。
今回は起業の経緯と取り組みに加え、実際に働かれているスタッフの方にお話を伺いました。
〜女性視点のマーケティングが新たな市場を切り開き、社会や企業の新たな原動力へと繋がっていく〜

【起業の経緯やその想いについてお伺いいたします。】
寺島さん:
社会に対し感じている課題が同じだったこともあり、阿部と2人で株式会社オフィスatを立ち上げました。課題は2つあり、その1つが「女性視点でのマーケティングが社会に足りない」という点で、2人の出会いのきっかけでもあります。
阿部さん:
前職で、広告関係の仕事をしていたのですが、海苔のC Mを制作する現場で「主婦にどう売るか」という話を、主婦である女性の視点が全くない状態で男性だけで進められており、結果、商品はほとんど売れませんでした。当時の私は、この状況にモヤモヤしていたものの、うまく言語化できなかったのですが、後々それが「女性視点のマーケティング」が欠けていたからだと気づきました。
寺島さん:
私は長く販売促進やプランナーの仕事で働いていました。その後、結婚、出産、夫の転勤など色々なライフイベントが重なったこともあり、仕事から離れ専業主婦になりました。子どもを抱え、慣れない土地で、知り合いもおらず、右も左も分からない場所で生活をしていたのですが、キャリアウーマン時代と真逆の立場になったことで、色々な場所で「なぜここでベビーカーを押せないの」「なぜここの角は固くて四角なの?危ないから丸の方がいいのに」など、仕事をしていた頃の私には全く見えていなかった生活者や女性の視点に気づくようになりました。
私も阿部も、生活者、特に女性の視点が社会に反映されていないと感じている中、女性視点マーケティングの草分け的な存在である株式会社ハー・ストーリィという会社で同時期に出会いました。
課題として感じていたことのもう一つは、「女性たちの力」です。
寺島さん:
私の場合、専業主婦になってしばらくして「仕事が自分のアイデンティティの一部になっている」と思い始めていました。しかし、夫の転勤先で知らない土地であること、就職しても、夫の転勤でキャリアが途切れる可能性もあったため、当時SOHO(Small office Home Office)という言葉が流行った時代だったこともあり、自宅にパソコンとネット環境を準備し、個人で営業を始めました。
預け先が無く止むを得ず、子どもも一緒に広告代理店などに営業に行くのですが、ほとんどが門前払いでした。販売促進やブランディング、ディレクターなど仕事の実績はあったのですが、実績の前に、「仕事場に赤ちゃん連れてきて何?」「子どもが小さくて仕事ができるのか?」という扱いを受けました。
そんな中、株式会社ハー・ストーリーさんに行った時に、ネット黎明期の中、「在宅ディレクターを待っていました!」と歓迎いただいたんですね。その時に「子育てもキャリア」と言っていただいたことは私にとっては衝撃的なことで、目の前が開けたように感じました。
その後、出産、夫の転勤がありながらも仕事を続けられたのは、やはり家にいながら仕事をオンラインでできる環境があったからです。
仕事は自分自身の成長にもすごく繋がるし、それが子どもたちの笑顔にも良い影響があるということを、身をもって体験しました。さらに阿部と一緒に仕事するようになって、お互い「課題」だと思っていることを企業や社会に広げていくことで、お役に立てるのではないか、まずは企業や社会に女性の声を反映した商品・サービスづくりや、女性の持っている力を発揮できる働き方を提案することで、女性たちが恩恵を受けることができる場を作りたいと思い、子育ても落ち着いてきた2014年に法人化に至りました。
〜仕組みと工夫で広がる繋がり。既存のバイアスから抜け出す柔軟な女性視点〜

【男女差がなく女性が活き活きと働ける社会を作る上で、どういったことを意識されていますか。】
寺島さん:
意識していることは2つありますが、1つは「仕組み作り」です。
当社は阿部と私以外に社員はいません。全国にいる、色々なスキルを持ちながらも、子育てや介護、ご自身のご病気とのバランスなどを理由に、フルタイムでの勤務は難しいという方々と繋がりながら、オンラインでチームを作って業務を行う仕組みを作っています。女性コミュニティやNPOのリーダーたちなど全国にネットワークを構築しています。
阿部さん:
直近ですと、大阪に本社があるクライアントからの依頼で、横浜のみなとみらいの店舗の覆面調査をする仕事がありました。この時は、横浜で調査に協力してもらえる方を当社のネットワークで探し、みなとみらいの店舗に行ってもらい、調査票に記入し、まとめるという流れで業務を行っています。クライアントとも初めに1度お会いしたきりで、後はずっとオンラインで打ち合わせをしていて、調査に行ってくれる方とはオンライン以外では1回も会ったことがないという状態です。
寺島さん:
もう1つは「自律共感型マネジメント」です。
当社のようなネットワークがあればテレワークでうまくいくと思われがちなのですが、やはりそこはなかなかうまくいかない。クライアントからは、「テレワークではコミュニケーションをはじめ、色々な不具合を感じやすく、社員が同じ方向を向いているかもわからなくなり、品質管理もなかなか難しい」と相談を受けることもあります。
私たちが上手くいっているのは、当社の理念「女性の声とチカラを企業へ 社会へ」という、1番の根幹に対してスタッフが共感し、コミットしているからだと思います。業務をお願いするだけの関係ではなく、思いを一緒に実現する仲間という感覚で仕事をしており、スタッフは皆、業務に対して「何のためにやるのか」という意識が強いと感じます。
ですから、よくスタッフに「これ、意味ありますか?」と聞かれるのですが「これはこういう理由だから今回は必要」と背景や課題までしっかり共有することでスムーズに業務が進行していきます。
【仲間として見ているからこそ、同じ目線でという感覚なのでしょうか。】
阿部さん:
そうかもしれないですね。雇用関係でもないので。仕事に納得がいかない場合、極端にいうと仕事を受けないこともできます。自分を律すること「自律」をスタッフの皆さんが、しっかりされていると思います。
〜女性活躍の本質とは?女性のためだけではない企業と社会に及ぼす好循環〜
【女性活躍について、自分事として捉えることができている企業がまだまだ少ないのではないかと思うのですが、その課題についてお伺いします。】
寺島さん:
大きく2つの課題があると思っています。
1つは「女性活躍の本質の理解」がまだ足りてないという点です。先日、阿部が「女性活躍の本質とは」というタイトルでウェブセミナーをしたのですが、「女性のためでしょ」と考えている企業がまだまだあるなと感じました。
女性活躍の本質は経営戦略や人材戦略などに非常に深く関係しており、人口ボーナス期から人口オーナス期に変わっていく中で、人材として大事なのだということに意識を向けていただきたいと考えています。ESGの観点からも投資家は多様性を重視していますし、イノベーションの観点でも、女性活躍が進むことで新しい商品が生まれ、その商品がヒットし、会社の業績もプラスになるという好循環が起きています。
阿部さん:
わかりやすい例だと「ワークマン女子」ですね。ニッカポッカをモデルが着こなしたり、飲食店用の滑りにくい靴が妊婦さんに流行ったり。
寺島さん:
業務用だったものが女性視点を取り入れ流行ることで、市場が倍になります。そういった意味でも、女性活躍は女性のためではなく、会社や事業を発展させるためにも良い面があるというところへの理解が、まだまだ進んでいません。
2つ目の課題としては、地方企業では現場に落とし込むことがなかなか難しいということです。
今の組織のあり方は、男性視点で作られたもので、女性が描くマネジメントの仕方や組織のあり方とは異なるわけです。違いがあるということを双方が理解した上で、会社内における組織のあり方にも女性視点は必要になると考えています。
私たちはそこに着目し、「女性活躍ブランディング」というサービスにも着手しています。女性視点を取り入れた組織のあり方を構築することで、女性が本当に活躍できる会社にし、それをブランディングしP Rすることで、良い人材を集めることに繋がるという、企業や社会に好循環を生み出すお手伝いもしており、ここ5年で相談も増えています。
女性活躍について一通りの理解はしているが、実際に現場ではどうしたらいいの?という地域の企業が多い状態なので、既存の組織の在り方にとらわれずに、女性が本当に活躍するための組織を考えることが今後とても重要だと考えています。
また、県と一緒に、働く女性のネットワーキングを支援する「福岡キャリア・カフェ」という活動も行っています。フライヤーを作ったり、SNSの発信をしたり、ホームページ作ったりと、女性にうまく情報を広げる役割を担っています。今後も産官学連携という形で、様々な方々と協業しながら、もっと社会のお役に立つような取り組みにチャレンジしていけたらいいなと思っています。
キャリアカフェのテーマの中に、女性のウェルビーングとして、女性特有の不調の話が出てきますが、このような課題に対して女性と企業が相互に理解を深めながら、「本当の女性活躍」が実現できるよう、しっかりと取り組んでいきたいと考えています。
~自分の思いと相手への共感を大切にし、活き活きと楽しく働く姿が次の世代に繋がっていく〜

広報スタッフ 高橋さんへインタビュー
【現在のお仕事についてお伺いします】
オフィスatでは、広報のお仕事を担当しています。具体的には、ホームページの更新やSNSでの諸々の発信、代表のお二人の格言を拾ったり、現場目線での発信、メディア対応やプレスリリース作成も行っています。
【働いている中で大切にしていることをぜひ教えてください。】
今の働き方を始めた当初は、「社員病」が抜けない状態で、依頼されたことを期待以上にしなきゃいけないという感覚で仕事をしており、少し疲弊していました。もちろん、きちんと仕事をすることは正しいことなのですが、ママ業をこなしながらの今は少し違う視点も大切だと考えています。
フリーランスとしてプロとして、もちろんやることはやるけれども、指示に基づいてやるわけではなく、自分の思いや相手への共感を大切にして業務をすることが大切ではないかと考えています。
プロフェッショナルな思いとプロジェクトへのビジョンをみんなが持っていて、その思いに共感してチーム全員が同じ方向に向かっている時は、チームスポーツと同じような一体感があり、とても楽しいです。そういう働き方をこれからも大切にしていきたいと思っています。
また、子育てもしているので、業務量が多く、ワークライフバランス的に難しい場合は、できる仕事量をこちらから提案するようにしています。「全部無理です」ではなくて、「今の自分の状態だと、ここまでだったらできるかもしれません」というような伝え方で、色々なクライアントと業務を行っています。そこも大事にしていきたいと思っています。
【子育ても忙しい中、働くことを選ぶ理由や、働くことへの思いをお伺いします。】
「働くこと」には、次の世代を育てることと、自分のプライベートや市場価値を高めることの2つの面があるのではないかと思います。お母さんが働いていることは、子どもにとってとてもプラスになっていると気づくことがあります。昔は自分の存在価値・市場価値を高めたいという思いだけで働いていたのですが、今はそれだけではなく、子どもに対して働いている大人の姿を見せられるので、実は次の世代を育てることになっていると感じています。
一昔前では、仕事をしながら家事もして、必死に働くお母さんたちの姿があったと思いますが、今のお母さんたちは、自分のプライベートも大切にしていて、ガツガツ頑張っているという感じは減っていると感じています。子育て世代や介護世代の人たちが持続可能な働き方を続けるためには、頑張るだけではなく、上手に力を抜いて自分の時間も大切にする働き方が主流になるといいなと思っています。
[働くことで子育てだけでは得られない経験が得られて、その姿を子どもたちが見ているわけですよね。]
在宅勤務でも、社会の動きや課題感を掴めるので、自分の視野を広げるためにも、働くことは本当に大事だなと思います。
【将来像についてぜひ教えてください。】
高橋さん:
今はただ、目の前にある色々なことに少しずつ挑戦してみたいと思っています。日々の仕事に向き合いながら、振り返ったらいつの間にか自分の背後に大きな森ができているといいなと思っています。
広報はとても好きな仕事なので、その気持ちを大切にしながら、ちょっとずつ前に進んで、色々な向きに方向転換もしていけたら良いのかなと思います。
【聞き手所感】
代表のお二人が体験した数々のエピソードから、女性視点の重要性を深く理解することができました。特に、女性が働くことで得られる新たな視点や価値が企業や社会に与える影響力はとても大きいものであり、女性活躍は女性のためだけではなく、企業や社会に大きな良い変化を生み出すことを確信しました。また、スタッフの高橋さんのお話からも、フレキシブルな働き方が女性にとっていかに重要であるかを実感することができました。
今後もオフィスatの取り組みがさらに多くの企業に広がり、女性の力が社会全体に浸透することを心から期待しています。