〜コミュニケーションを大切に。チームで支え合い、女性のキャリア形成・チャレンジを応援する〜

荏原製作所は、1912年創業の産業機械メーカです。祖業のポンプを中心とする風水力機械カンパニー、廃棄物処理施設の設計・運営管理を行う環境事業カンパニー、世界シェア2位のCMP装置やドライ真空ポンプを製造する精密・電子事業カンパニーからなっています。
製造業を中心とする企業ということで男性中心の会社というイメージがあるかもしれませんが、女性社員の働きやすさを実現するべく積極的な制度改革に取り組んでいます。現在の取り組みや今後の展望について、九州支社長 太田賢一さん、総務 小西美江さん、社会システム営業部 吉冨幸恵さん、サービス部品課 高橋桂子さんにお話を伺いました。
 

〜本腰を入れた制度改革が、製造業の組織風土を変えていく〜

【これまでの取り組みについてお伺いいたします。】
太田:荏原製作所は、「性別・国籍に関係なく、多様な人材が働き甲斐と働きやすさを感じながら活躍できる場を作る」ことを重要課題として位置づけ、2015年にダイバーシティ推進室を設置しました。より強い企業になるためには、性別・国籍などを超えて多様な人材が参画し、活躍できるような就業環境を整えていこうと取り組んでいます。
具体的には、2018年に人事制度が役割等級制度になり、実力主義型に変更されました。これは、果たした役割や達成した成果に対して、公正な評価を行う制度で、男女格差や年功序列的な配置を排除するものとなっています。

女性活躍推進としては、2018年に女性活躍推進法に基づく優良企業認定マーク「えるぼし 第3段階」の認定を取得しました。女性が自らの能力を発揮して、仕事を通じて成長し、働き甲斐を感じられる会社を目指しており、意欲・能力があれば性別に関係なくキャリアアップできるよう支援をしています。
「女性基幹職の割合が低い」「採用者の女性割合が少ない」「仕事と家庭の両立がしづらくキャリアイメージが描きにくい」という女性活躍の課題に対して、女性の基幹職比率や採用割合を上げることを目標に掲げています。また、女性基幹職のキャリアに関する内容やワーク・ライフ・バランスについてコラムを配信し、基幹職へのイメージを掴みやすくするための取り組みも行いました。
長時間労働の是正に関しては、2022年までに総労働時間1920時間/年、所定外労働時間45分以内/日、有給休暇取得率80%以上を目指しています。
 

〜女性の現場従事者を応援する「清流こまち」〜

太田:当社では現場従事者のほとんどが男性でしたが、ここ数年、現場に携わりたいという女性も増えました。そういった方を積極的に応援する活動を行っています。この現場に従事する女性たちに親しみやすい愛称をつけようと社内公募して「清流こまち」という愛称に決まりました。まだ人数は少ないですが、それぞれの地区で、現場での施工管理・品質管理・安全管理をやりたいという女性を応援しており、確実に増えてきています。
吉冨:営業職の女性でも、技術員の希望があれば、条件が合う現場で技術者として配属もすることも可能です。実際に、北陸で営業職でありながら技術者として活躍している女性もいます。

【働いている中で、性別の違いを感じることはありますか?】
小西:私は一般職として入社しましたが、会社の方針転換があり、現在は総合職として従事しています。性別を問わず、皆が同じように積極的に関わるという方針で、さまざまな業務にチャレンジする場が設けられています。
小西:仕事に直接の関わりはありませんが、社内サークルのような形で、子育て中のママが主体の子育ての会を作っています。他にも、パパの会や読書の会などもあり「何でもいいからちょっとチャレンジしてみる」という事が推奨されています。せっかく集まるなら結果を出したい、ということで、そこで出た案をどんどん会社にあげています。
現在、子育て真っ最中の人たちの助けに少しでもなればいいなと考えています。オンライン化が進み、全国の社員と繋がることでさまざまな情報も得ることができ、更に積極的にチャレンジすることができる環境になっています。

〜会社の充実した制度・システムを活用して、自分らしく働く〜

【時差出勤、時間短縮勤務などの勤務制度の活用について】
吉冨:私は、子どもが小学校卒業まで利用可能な時間短縮勤務を申請しています。子どもが3人おり、長男が高校2年生、1番下が小学校2年生で、長い期間、時間短縮勤務を利用しています。今日も午後から小学校の参観があるため、時間有休と午後から在宅勤務で仕事をすることにしています。
上司の理解があることも大きいです。毎朝1日の行動を太田支社長もメンバーに入っているチャットに入れています。時には、「娘が泣くので帰ります。」など、子どもたちの状況を入れることもあります。家庭の状況を共有することにより、、お互いの環境を理解しやすくなります。また、周囲のメンバーからフォローをしてもらいやすくなる状況になっていると感じています。
太田:働きやすさや働き甲斐を感じるためには「ゆとり」が必要だと思います。与えられた仕事だけで忙殺されている状態では、働き甲斐の実感や働きやすさには繋がりません。効率を上げ生産性を向上させ、「ゆとり」のある働き方の中で初めて、仕事の幅を広げたり質の向上などに取り組むことができるのではないかと思います。
そういう職場環境を醸成することが管理側の役割であり、そのためには、「話を聞くこと」が一番大切だと思います。職場や家庭のことなど気軽に上司に相談できる職場環境づくりが必要だと考えています。

高橋:私の部署は業務担当制ではなく全ての業務を分担して行うチーム制なので、休みが取得しやすく、休みの翌日に仕事が溜まっていることはありません。一人が休むと4人分の仕事を3人で負担することになるのですが、そこは皆、お互い様という考えで協力して業務を行っています。
また、時間単位有休を活用しています。例えば、子供の授業参観の時に2時間だけ時間休暇を取得し、業務に戻ってくることや、お昼休みと繋げて時間休暇を取得し歯医者を受診することも可能です。
5年ほど前に、全国で業務・情報が共有できる情報システムを導入しました。これまではそれぞれの地域・部署で解決していた事も、情報を共有できることで、誰に聞いたら解決するのかなど、解決案も共有でき、仕事もスムーズに進むようになり、とても助かっています。
【そういったシステム的な改革があって、今また働きやすさっていうのに繋がっているということですね。】


小西:私は総務部門に所属しています。九州支社と管下の営業所の安全衛生や防災、環境関連のほか、コンプライアンス関連の相談窓口を担当しています。
【働く上で大切にしていることを教えてください。】
毎日、「何事も楽しくやろう!」って思っています。周りの環境が日々どんどん変化していくので、常にアップデートしながら「チャレンジ=勉強」だと思って業務を行っています。
【将来像について教えてください。】
定年が間近に迫っているのですが、まだまだやれるなと思っています。社内には定年を過ぎても積極的に行動されている方が沢山いるので、そういう方を目指して、楽しくもっともっとチャレンジしていきたいです。仕事だけではなく、生き方としてもどんどん自分をアップデートしたいと考えています。


吉冨:社会システム営業部に所属しています。業務としては、公共工事参加の申請準備、入札から工事終了までの一連の事務処理です。ポンプの部品販売などに関する、お客様からの見積依頼、工場とのやり取りが主な業務です。
【働く上で大切にしていることを教えてください。】
「子育て中のため限られた時間内で仕事を終わらせる」これが私の中では1番大事です。次に「仕事で工夫を惜しまない」「今の自分があるのは周囲の協力があってこそ。感謝の気持ちを忘れない」「全てを前向きに考える」「ため息をつかない」「休暇は好きなことをする」ですね。
【将来像について教えてください。】
子どもがまだ小さくて時間的に制限があるのですが、上司も周りの方も、どんな事でもやっていいよ、と言ってくれるので、何ができるか分かりませんが、協力してくれるメンバーに感謝しながら、色んな事にチャレンジしていきたいなと思っています。


高橋:サービス部品課に所属しています。主に部品の見積・受注から出荷の手続きを行う業務です。神奈川県にある藤沢工場に発注し、工場から直接お客様へ出荷するという流れです。金額は何百円のものから高価なものまであるのですが、とにかく件数が多いのでどうやって生産性を上げるかが毎日のテーマです。使用先は機械を停止することができない場合が多く、部品の注文が入る時は大体不具合を起こしていることが多いので、迅速さと正確性が求められます。
【働く上で大切にしていることを教えてください。】
私も育児中なので、自分がフルタイムで働くことが出来るのは、家族や親、また同僚の協力があって成り立っているということ、そのことに対して、常に感謝の気持ちを忘れないようにしています。
【将来像について教えてください。】
毎日の業務をどう時間をかけずに行うか、生産性を上げるかというところで目一杯ではあるのですが、できることも沢山あると思うので、まずは生産性を上げて「ゆとり」をつくり、それからビジョンを考えていけたらと思っています。

【聞き手所感】

役職と社員の間に壁を感じず終始和やかな雰囲気でインタビューをさせていただきました。支社長自身が多様な働き方に深い理解を持っており、トップの意識の重要さも感じました。性別に関係なく人材を大切にし、そのための制度改革が進められており、今後の製造業における女性活躍の必要性を再認識しました。インタビューにお答えいただいた皆様、本当にありがとうございました。

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