小田部校区自治協議会 会長 松永マツエ様
あんたしかおらん
荒瀬)自治協(自治協議会)会長になられる前は何か地域活動はしていたのですか?
松永)子どもが小さい時はPTAの役員をしていました。話をしたり,人の中にいるのは好きなので。校区の女性協議会の会長を会議で決める時に1時間くらい決まらず,「くじ引きにしましょうか」となり,「くじ引きで当たるくらいなら私がします」といって女性協議会の会長になったのがきっかけです。2年の会長の任期が終わるときに,自分の町内の町内会長が倒れて欠員になったのですが,女性協議会で“女性が活躍する場所をつくらなきゃいけない”ということを学んだので,町内会長になりました。それから20年,抜けられないで,今に至ってます(笑)
荒瀬)自治協会長になられたきっかけを教えてください。
松永)4年前に自治協会長になりましたが,その時はとても悩みました。誰もなる人がおらず,他の役員に「あんたしかおらん」と言われた時に,「女性が自治協会長になるなんて」「早良区の他の24校区は男性の自治協会長,しかもベテランばかりだし」「どうやって女性が入っていけばよいのか」と考えました。その時,区役所の地域支援課職員に,「大丈夫です,これから女性が頑張る時が来たんだから,見本になってください。サポートしますから。」とアドバイスをもらったことと,ちょうど女性の区長が早良区に就任されたので,“一人じゃないから大丈夫かな”という思いで自治協会長を引き受けました。今まで勤めてもいなかったし,役職ある仕事もしていなかったので,踏み出すまではすごく悩みました。
「話したよね」「聞いたよね」を大事に
荒瀬)素晴らしいのは皆がついてきていることですね。女性の自治協会長としての苦労はありますか?
松永)あまり苦労と感じないようにしようと思っています。
荒瀬)工夫されていることはありますか?
松永)ありますね。自治協の役員はみなさん男性で,働いている人が多いので,平日に開催される校区外の会議にはいつも私が出席しています。でも一人ひとりにできることの役割分担をお願いしています。月1回の役員会と運営委員会で,情報を共有し,確認することで各自が責任を持ってくださいというのが私の理念です。「話したよね」「聞いたよね」を大事にしています。
男女共同参画について思うこと
荒瀬)地域にはパワーを持っている女性がたくさんおられますよね。
松永)校区によっては,男女協(男女共同参画推進協議会)が炊き出しなどを行っているところもありますが,うちの校区の男女協には「炊き出しなど行事の時に駆り出されるのが仕事ではないと自覚してください」と言っています。男女協には研修などで勉強してもらい,校区の中で実践してもらいたいと思っています。
荒瀬)男女協の必要性がなくなるくらい男女共同参画を浸透させなければならないですね。
「地域づくり」は「ふるさとづくり」
松永)自治協のこれからの課題は担い手づくりです。自分が育った校区で自分の子どもを育てたいと戻ってきてくれる人もいます。たいへん嬉しいことです。「元気と笑顔のふるさとづくり」を私の地域活動のテーマにしたいと思うようになりました。また,校区の運動会など町費を使ってするのだから,町内の皆さんにはお知らせする責任があります。私の町内は必ず私が各戸へチラシを配布しています。
荒瀬)私も早良区長をしていましたが,当時もやはり担い手不足が地域の課題でした。ゆくゆくは担い手になってほしいという狙いで,公民館で男性向けの料理教室などを開催していました。
松永)料理教室や運動会に来られた方にお名前を聞いて,2~3回お見えになると電話番号も書いてもらって,校区の「ボランティア協力員」に登録をお願いしています。何かの時に電話すると必ず手伝ってくれます。
荒瀬)子どものために地域に入りたいと思っていても,入るきっかけがない人もいると思います。そういう人達にはいいきっかけになりますね。
松永)「子どもソフトボール教室」を校区で始めたのですが,お父さんもついてくるので,そこも狙い目だと思っています。若い世代だけでなく,高齢者も元気な人が多いので,公園清掃や花づくりなどに呼びかけて,手伝ってもらってます。
荒瀬)健康づくりと認知症予防のためにも,歳をとったらもっと参加してほしいですね。これから今の比じゃないほど,高齢者の女性の割合が高くなります。女性が元気じゃないとまちが活性化していかないと思います。キーパーソンは女性ですよね。
校区清掃の様子 防災訓練・避難所設営の様子
担い手を育てて,これからも小田部校区を元気にしたい
荒瀬)今からいろんなところで女性が活躍すると思います。他の女性にもっと活躍してほしいという,何かメッセージはありますか。
松永)無理をしないでできる範囲で地域の活動づくりをしようといつも思っています。家の事をできないままでは,人の世話もできないというのが私の信念です。地域のことで負担をかけないように,会議の回数や時間も減らし,なるべく夜の会議はしないようにしています。出られるときに出て活動する,協力するという気持ちで参加して欲しいです。家族の理解や協力も必要ですから,地域行事後の打ち上げには,家族で来てくださいとも言っています。今は働く女性も多いし,そうでないと地域活動は続かないと思います。
荒瀬)小田部校区は松永会長のおかげで,女性が活躍するための地固めがだいぶできていると思うので,会長を他の女性にまわしてもできる方が案外おられるかもしれませんね。
松永)そういう人を掘り出すために,どんな役をしたことがあるかアンケートをとりました。自発的に役員になってもいいという人を,どんどん地域活動へ引っ張りたい。担い手を育てて,これからも,小田部校区が元気であることを願っています。
小田部校区自治協議会
会長 松永 マツエ様
平成7年に町内会長に就任して以来,女性の視点を生かしたまちづくりをすすめている。
平成23年4月より,数少ない女性の校区自治協議会会長として活躍。長年,地域の役員を務め,地域に関する知識の深さから「小田部の生き字引」とも呼ばれる存在。
小田部校区の概要
人口:9,518人(平成27年9月末現在)世帯数:3,632世帯(平成27年9月末現在)
町内会数:15町内会(自治会)
概要:早良区の北部,室見川の河口からやや南に入ったところに位置し,かつては田畑が広がり“小田部だいこん”の産地として知られてきた。今ではだいこん畑もわずかになり,閑静な住宅地となっている。
URL:http://kotabe.skr.jp/
小田部校区自治協議会の主な活動
- 小田部公民館の南側にある「小田部中央公園広域広場」の管理を,平成23年4月から自治協議会が行い,「校区住民の集う場」として,「春・秋のフリーマーケット」,「夏祭り」,「新春フェスタ」,「子どもソフトボール教室」,「公園解放日(毎土日)」等を開催しています。
秋のフリーマーケット(福祉体験)の様子 夏祭りの様子
- 小田部だいこんの会
「地域の子どもたちを自分たちの手で守ろう」の掛け声のもと,平成13年4月に日本で初めて自前のパトロールカーを使った保護者と地域住民による巡回パトロールを開始し,今では全国で取り組まれている青色防犯パトロールのモデルとなりました。活動費はメンバーが考案した「こたべ餅」を校区事業で販売し,収益を充てています。現在は,30代~70代まで約40名のメンバーで,朝の立哨や巡回パトロールを毎日3回行っています。
- 小田部きれい花隊(KTB64)
60~70代を中心とした女性で結成し(平均年齢64歳),福岡ソフトバンクホークスを応援するため独自の踊りを付けた「ホークス音頭」をつくったり,公園の花壇の手入れや防犯パトロール,公民館での料理教室など幅広く活動をしています。
花壇づくりの様子 防犯パトロールにも参加- 小田部公民館オアシス
公民館オアシスの様子- おたべ会
毎月第一月曜日に校区の高齢者を対象に「ふれあいサロン」を食生活改善推進委員会のメンバーが立ち上げ,講話などの後に,手作りの食事をふるまっています。
おたべ会の様子 おたべ会の様子- 平成26年小田部のゆるキャラ「だいこん家族」が誕生しました。