「働き方のフォーマット」多様化で、一人ひとりの活躍を引き出す

左から代表取締役の渕上徹彦さん、上野さん、緒方さん
Forbes JAPAN WOMEN AWARD 2018の授賞式

株式会社渕上ファインズは、1895年創業の渕上呉服まで源泉をさかのぼることができる福岡の老舗企業で、時代の変化にあわせて業態を変えながら、呉服やブライダルなど女性に近い業界で成長してきました。380名の全社員に女性が占める割合は9割を超えるだけに、女性の活躍を前提とした社業を営んでいます。

近年の女性の働きやすさを高める取り組みは社内外で評価され、Forbes JAPANが主催する「Forbes JAPAN WOMEN AWARD 2018」においては、最も女性が活躍している企業として総合ランキング(従業員数300名位上1000名未満の部)と働き方改革部門の2部門でグランプリを受賞しました。(総合ランキングは2017年の4位からの2年連続受賞)

そのような取り組みを始めたきっかけとこれからの課題について、取締役専務の渕上芳亘さん・人事部マネージャーの緒方絵美さんにお話を伺いました。また入社1年目の上野日向子さんから、現在の渕上ファインズで勤務する感想をお聞きしました。

経験を積んだ社員が出産・育児を経ても勤続することは、経営にとってプラス

笑顔の代表取締役の渕上徹彦さん

私が新卒入社したのは外資系企業で、勤務地は東京でした。別の業界で社会人経験を積んでから当社に入社したことになります。 当社は業態や企業の構造でアパレル業界に通じるところがあります。アパレルの特徴なのですが、従業員の勤続年数が短いということがあります。業界では当然のように受け止められていたこのことが、非常に問題だと感じました。それは社会人スタートの時点に、別の業界を経験したからこそかもしれません。

そこで、8年前に入社した当時は社内の環境づくり・意識改革から始めました。社内で意見聴取を重ね、産休・育休取得に関することなど制度の見直しを図りました。 その結果として、現在では50名を超える女性社員が、産休・育休を経て職場に戻ってくれています。8年前は全社で数名にとどまっていましたから、状況は大きく良い方向に変わったと考えています。経験を積んだ社員が短いサイクルで離れてしまうことなく、生産性を高めながら仕事を続けてくれることは、企業経営にとってもプラスですから。

壁にかけられたたくさんの社員の写真

現在は、8年前と違った課題があります。先に述べたように、職場に戻ってくれる社員は大きく増えたものの、一人ひとりの復帰後の働き方を見ると、さまざまな制限を抱えている場合がままあります。やはり多様な価値観や考え方がありますから、社員が「働き方のフォーマット」を選べるような環境を整えるのが、これからの企業側の課題かと思います。
そこで、一つの施策として「土日の公休制度」という制度を新たに導入しました。ブライダル業界では公休取得が難しい土日祝日に休めるよう、大型店舗に限定した体制です。その効果はこれから検証していくところです。
人材不足と言われる時代ですが、幸い当社は毎年多くの入社希望者に恵まれています。その中から選ばせていただいた優秀な社員ですから、しっかりと活躍してもらえる仕組みを作らなくてはいけませんね。

子供が第一でも働き続けられる環境と、意識づくり。社員一人ひとりに『できる可能性』を感じて欲しい

子連れのランチ会の様子

当社では採用関係の業務を長く担当していましたが、現在は人事部で主にダイバーシティ推進を担当しています。
さきほどの渕上の話とも重複しますが、以前とはかなり社内環境は変化しました。2014年に立ち上げた「MAMA THE LIFE」という制度では、ワーキングマザーをサポートする取り組みを実施しています。妊娠中の勤務支援、産休・育休中の職場復帰をふまえたコミュニケーション、職場復帰後の勤務支援と、一人ひとりの状況にあわせた支援を行うもので、多くのママ社員が活用しています。

こうした取り組みが社内に根づくことで、社員に「ライフステージが変化しても安心して働くことができる」という意識を持ってもらえていると思います。
それでも子育てしながら仕事を続けるには制限が多く、出産を経た社員はお客様を担当する最前線の業務から外れてバックヤード業務に異動することが多いのが現状です。ただ、本人の考え方次第で可能性は広げられますから、社員一人ひとりに「もっと働きたい」「もっと活躍できる」と思わせる仕組みづくりがこれからの私たちの課題です。

職場の緒方さんとお嬢さん

私自身、娘を育てながら働いていますが、仕事をすることを選択しているのは自分自身なので、子どもを理由に仕事が滞ることがないよう、家族や友人、ベビーシッターに頼りつつ自身で働くための環境を整えています。子育てしながらでも、お客様を担当する業務やマネージャー業務を続ける方法はいろいろあると、ママ社員同士で意識を共有したいですね。
仕事を続けること、充実させることには家族の理解が重要だと感じます。そして娘に誇れる仕事を続けることが、個人の生き方もよりよくすると思っています。

今では当たり前になっていることも、これまでの改革・改善の結果

笑顔でウェディングドレスを手に取る上野日向子さん

私は今年度入社したばかりで、周囲にはさまざまな働き方の先輩社員がたくさんいるのが当たり前の環境にいます。そういう中ですから、以前は産休・育休後に職場復帰することが少なかったと聞いて「へえ、そうなんだ…」という印象でした。
ブライダル業界では一組のお客様と数か月継続してお付き合いすることになります。現在は、初めて担当したお客様が式を終えられて、ようやく業務を一巡できたところです。まだ自分の課題などは見えていませんが、これからは仕事に対する理解や精度を高めていきたいと思います。
日頃は店舗に勤務しているので、ショップマネージャーがもっとも身近なロールモデルです。今のマネージャーも目標にしたい方で、「こうなりたい」と思える方が近くにいることはとても励みになっています。

弊社を志望する学生は多い中で、私は運よく入社できて幸運でした。様々なロールモデルがあり、希望すればどの職種にもチャレンジできるという社風に、とても惹かれています。頑張れば認められる、次のステップに進んで自分を磨くことができる環境があるということに働きがいを感じています。

会社概要
株式会社渕上ファインズ壁のロゴ

 株式会社渕上ファインズ

 〒812-0039 福岡県福岡市博多区冷泉町6-16

 代表取締役 渕上徹彦

 ホームページ(外部リンク)

 電話:092-263-6070

 創業:1895年

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