2019年03月15日株式会社富士ピー・エス
働きやすい職場環境づくりで女性技術者が増加
九州のインフラ整備は九州の会社で。創業時の理念を引き継ぐ
株式会社富⼠ピー・エスは、あらかじめコンクリートに圧縮する⼒を与えることによって、ひびわれが発⽣しないようにするPC(プレスレストコンク
リート)技術を⽤いて、⼟⽊建築事業を展開しています。主に、コンクリート製の橋や⾼速道路の建設・改修を通じて、60年以上にわたり、社会のイ
ンフラ整備を担っています。その他、PC技術を活⽤した製品の設計・製造・販売も⼿掛けています。例えば、鉄道のマクラギや⾼層マンションの部材
にも同社の製品が使われているそうです。
「当社は、『九州のインフラ整備は、九州の会社で』という地元財界の皆さんの想いから創られました」と取締役常務執⾏役員管理本部⻑の梅林洋彦
さんは話します。
「当時、九州でPC技術を扱っている会社はありませんでした。なんとか地元でインフラ整備をやろうと設⽴されたのが当社です。社会に必要とされる
ものをつくり、社会に貢献すること。その理念を我々が引き継いでいかなければならないと、いつも思っています。社会貢献することが我が社の役割
であり、存在価値になると考えています」と梅林さんは⾔います。
働きやすい制度を整えて「選ばれる会社」を目指す
梅林さんは現在、取締役として経営の中核に携わりながら、財務・総務の管理本部⻑として⼥性活躍推進に⼒を⼊れています。
「当社は、『VISION2016』として第4次中期経営計画を策定し、テーマの⼀つに、かねてからの課題であった⼈材確保を掲げました。特に、技術者不⾜は、建設業界全体の
問題です。2016年、⼥性活躍推進法の施⾏とも重なり、⼥性技術者の積極的な採⽤に取り組むことにしました」と梅林さん。
当時、従業員約400名に占める⼥性の⽐率は約10%で、ほとんどが事務系職員。技術系職員に占める⼥性の⽐率は2%だったそうです。そこで、⼥性活躍推進法に基づく⼀般
事業主⾏動計画で「技術系職員に占める⼥性⽐率を3年後に5%以上にすること」と具体的な数値⽬標を設定し、働きやすい職場環境の整備をスタートさせました。
具体的には、育児短時間勤務制度の利⽤期間を⼦どもが「3歳に達するまで」を「⼩学
校就学前まで」に延⻑、⼦どもの看護休暇の有給化など、従来の制度をより利⽤しやす
いよう拡充しました。さらに、⼥性のキャリアアップ⽀援として、九州⽣産性⼤学の経
営講座を受講できる制度を新しく導⼊。毎年、同講座へ⼥性1名を派遣しているそうで
す。
「働きやすい制度を整備するうえで、⼤切にしているのは社員の意⾒です。社内アンケ
ートを実施し、『どういう対策をしたらよいか』具体的に書いてもらうようにしていま
す。その意⾒をもとに、まずはできることからやっています」と梅林さんは話します。
また同社では、⼯事現場の環境整備に⼥性の声を取り⼊れています。⼥性職員で安全パ
トロール隊を結成。⼥性活躍の場が広がっているそうです。「⼯事現場の⾒回りをお願
いしています。彼⼥たちは、技術者がより働きやすい現場にするにはどうしたらよい
か、⼥性⽬線で改善策を指摘してくれるので、助かっています」
梅林さんは「⼀般事業主⾏動計画を策定した当初は、⼥性の技術系職員は5名でした。3
年経った今は、13名に増え、⾏動計画の⽬標達成に近づいています。しかし、これで終
わりではありません。今いる社員の声に⽿を傾け、今後も働きやすい職場づくりを続け
ていきます。そして、3Kと⾔われた建設業のイメージを払拭し、応募者から『選ばれる
会社』になるようアピールしていきたいです」と意気込みます。
仕事と育児のバランスがとれる短時間勤務 香月朋恵(かつき・ともえ)さん 入社12年 管理本部 経理部財務グループ・主任
私は育休から復帰して、育児短時間勤務で働いています。勤務時間は午前9時~午後4時まで。午前3時間、午後3時間の仕事は、「気づいたら、もうお昼」ということも多く、あっという間に時間が過ぎてしまいます。仕事は経理部で、入出金管理、支払い処理、精算業務などを担当しています。締切があるので、限られた時間の中で優先順位を考え、黙々と仕事をしています。
職場復帰して1年半。やっと毎日のリズムに慣れてきたところです。今は、仕事と育児のバランスをとることができて、働きやすいです。
しかし、復帰した当初は不安もありました。復帰初日に子どもが熱を出し、保育園に呼び出されたのです。「この先、普通には働けないな」と心配になりました。当時は、育児短時間勤務は子どもが3歳になるまでと決まっていました。「フルタイムで働くのは難しいかも。別の会社で、パートで働こうか」とぼんやり考えたこともあります。現在は、会社の制度が変わって、子どもが小学校に入学するまで短時間勤務をできるようになり、ホッとしています。
他の会社では、短時間勤務でも、仕事が終わらず時間通りに帰れないという話も聞きます。私は、上司や同僚が午後4時になると帰宅を促してくださり、時間通りに退社できます。子どもの急病で休む時も、職場の方たちは快く受け入れてくれ、子の看護休暇をとる事ができます。働きやすい職場でほんとに有り難いと思っています。
男性が多い職場で女性技術職として働く 阪田真由子(さかた・まゆこ)さん 入社1年 九州支店 土木部設計チーム
私は大学で建築を学びました。就職活動を始めた頃は、住宅メーカーを主に受けていましたが、もっと視野を広げてみようと思い、建設業全体で探し始めました。そこで当社を見つけたのです。建設分野で技術者として働けることや、本社が福岡にあることに興味を持ったのですが、会社説明会までしばらく日にちがありました。思いきって電話すると快く対応してくださいました。すぐに会社を訪問し、採用担当者から直接話を聞くことができました。このようなきっかけで当社に入社したのです。
現在は、九州支店土木部設計チームで技術職として働いています。設計図を見て、ちゃんと建設できるか、問題ないかチェックする仕事です。 私はまだ一人でこなすことができず、一度先輩が見たものを途中から任せてもらっています。仕事は面白いです。自分のやり方でさせてもらっています。言われた通りにやるのではなく、自分で考えながら集中して仕事をするので、私には合っています。
設計チームは6名で、女性は私ひとり。男性ばかりの職場ですが、働きやすいです。上司や先輩は、私を気遣って声をかけてくださり、仕事も男女関係なく任せてもらえるので、やりがいもあります。
正直に言うと、「女性活躍」という言葉には、違和感があります。「女性だから」という区別がなくなり、女性も男性も同じように働きやすい社会になること。それが一番だと思います。
会社概要
株式会社 富士ピー・エス
〒810-0022
福岡市中央区薬院1-13-8 九電不動産ビル
代表取締役社長 菅野昇孝
電話:092-721-3471
FAX:092-721-3460
創業:1954年