同社の取り組みは、人材確保にも良い影響があったそうです。「子育て中の女性の応募が増え、優秀な人材を採用できるようになりました。休みが取りやすく自分のペースで仕事ができる。働きやすい環境を整えると、会社への忠誠心が生まれ、「私がやらなくちゃ」と責任感も出てきます。その結果、パフォーマンスが高くなります。子どもがいるからパフォーマンスが低いわけではありません。これまでに、パートナースタッフ（パート社員）3人を正社員に登用することができました」

日髙さんは「中小企業が女性活躍に取り組むことは難しいと思い込んでいました。新しいことを始めるには、固定観念が邪魔になります。それを取り払うことができれば、中小企業にもできることはある。これからも実践していきます」と力強く話します。

私は10年間専業主婦でした。3年前にパートナースタッフ（パート社員）として入社し、2018年4月から正社員になりました。今は、戸建て住宅の営業を担当し、工事現場にも足を運んでいます。

仕事を始めようと思ったのは、子ども2人の成長です。子どもはそのうち離れていく。そこで、「外に出て働こう。まずはパートで」と考えたのです。ハローワークで当社を紹介してもらい、ホームページに「女性応援」「子育て応援」と書いてあったので応募しました。

最初は、営業サポートで、現場に必要な「安全書類」の作成を担当しました。人の役に立っていると実感でき、働くことが楽しかったです。

いずれ正社員になりたい、もっと仕事がしたいと思っていたとき、上司から「戸建て住宅の営業をやってみないか」と正社員の話をいただきました。子どもも手がかからなくなったし、チャンスを生かそうと申し出を受けました。

いざ正社員になると、働く時間が長くなり、正直、負担を感じたのは事実です。例えば、夕食の準備が遅くなります。慣れるまで時間がかかりました。

それでも仕事を続けられるのは、働きやすい会社だからです。子どもの授業参観で早退しても誰も責めません。社長は「お母さんは自分の都合で休むのではない。子どもの都合なのだから」と言ってくれ、休みを取りやすい雰囲気を作ってくれています。そんな職場は本当にありがたいです。

これからは、後に続く女性のために働く道を広げたい、福岡のランドマークに関わる仕事もできるようになりたいと思っています。