一人ひとりの勤務形態に寄り添い、みんなが支えあう職場

おばあちゃんと談笑する久住呂さん

介護福祉事業に取り組む有限会社エス・エイチ・シーは、福岡市城南区でグループホーム、ケアプランセンター、介護付き高齢者向け住宅を運営しています。
66名の職員のうち3分の2が女性。女性職員の生活様式の変化に柔軟に対応できる仕組みづくりを実践的に行う中で、平成29年2月には九州の中小企業で初めて「えるぼし」認定を受けました。
経営者と職員、また職員同士があたたかい信頼で結びついた企業風土は、代表の石橋さん、管理職の久住呂さん、職員の濵口さんそれぞれの言葉の端々からうかがえました。

子育て中のお母さん職員・濵口さんにお話を聞きました。

笑顔で話す濵口桃子さん

専門学校を卒業してから当社に就職し、現在は入社7年目で、生活相談員としてデイサービスで勤務しています。今はまだ2人の子どもが小さいこともあるのでパート勤務しています。
入社して10ヶ月目に妊娠しまして…仕事を始めて間もない頃で、体調もこれまで通りとはいかない中でしたが、周囲にはたくさん支えていただきました。出産経験がある先輩が多くて、実の母のように接してもらい、産休育休を取る時は「戻ってきた時にがんばればいいから」とあたたかく送り出してくれました。
職場に復帰してからも変わらず支えていただいてます。また今では、後輩の職員や産休育休を取得する職員をサポートする立場にもなりました。先日、別の職員から産休を取得したいと相談があって、社長と一緒にサポート体制を考えていたところです。

おばあちゃんと談笑する濱口さん

そういうこともあり、とても働きやすい職場だと感じています。この先も長く働きたいけど、ここでないともう働けないかも(笑)。
長く続けるには家族の理解も重要だと思います。うちでは夫と家事育児を分担して、助かっていますね。
現在は母親業でいっぱいいっぱいですが、「さらなる知識と技術の向上」が今後の目標でしょうか。介護業界は日進月歩の世界で、ついこのあいだまで常識だった知識や技術がどんどん変わってしまう。絶えず勉強が必要な世界なんです。
わたしは国家資格を取ってケアマネージャーになるよりも、利用される方々の顔が見える現場にいたいと思います。生活相談員になりたてでもありますし、まだまだ勉強していかないと…という気持ちが強いですね。

経営側と働く側。それぞれがプラスに作用するための今後の目標は。

代表取締役 石橋一成さん

社業をスタートさせて16年ほど、立ち上げメンバー20名ほどは100%女性でした。その後もなかなか男性職員が定着しない中で、女性の力に頼るしかない。どうやったら女性が働きやすいだろうか、スキルを持った人材が産休育休を取った後にも復帰してもらうためにはどういう雇用のかたちがベストだろうか、という試行錯誤のなかでここまで来ました。女性の活躍の場づくりに積極的に取り組んだというよりは、職場の皆さんとともに実践ありきでしたね。
そういう経緯から、当社の現場リーダーは産休育休からパート勤務で復帰して、フルタイム勤務の正社員になった方が多い。職員同士にわかりあう雰囲気、「働くみんなで支え合う」という意識がごく自然にあると感じています。そのせいか、業界内では定着率が高いです。ありがたいですね。

お子さんを連れて出勤することも!
インタビューを受ける石橋さんと濱口さん

当社では女性の活躍を推進するというよりも、女性職員がメインの現場が大半です。現在の職員の男女比率は3:7くらいでしょうか。リーダー職でも、男女比率4:6くらい。
本当は女性の管理職者をもう少し増やしたいと考えています。女性職員で、管理職者にふさわしい人はたくさんいるんですが、人の上に立つことを敬遠してしまう方が多いのが悩みどころです。
また介護職は高い専門性、確かな技術が求められる仕事にもかかわらずお給料が安いのが現実です。これをなんとか転換して、優秀な人材に還元していかなくてはいけないなと考えています。
また職員ひとりひとりのレベルや将来の展望にあわせた教育を受けさせたい、といつも考えています。濵口さんも専門学校を卒業してからずっと介護職でがんばっているので、ぜひスペシャリストを目指してほしいですね。多くの先輩がパート勤務からフルタイムの正社員雇用に切り替えているので、彼女にもそんなふうに頑張ってほしい。

濵口さんが「家族の協力が重要」と言っていましたが、当社は職員のご家族に職場を開放しています。職員がお子さんを連れて出勤して、業務のかたわら遊ばせるということもよくあります。遊びに来てくれた子どもたちは、家族のようにかわいがっています。
ご高齢の利用者も、施設にお子さんが来てくれると元気になるんですよ。これも当社のいいところかなと思っています。

パート勤務からステップアップを重ねて、職場のリーダーになった久住呂さん。後進に期待することは。

インタビューを受ける久住呂さん
笑顔で話す久住呂さん

現在は施設管理、職員の管理などを広く担当していますが、わたしも濵口さんと同様の働き方をしているんです。
まず2人の子どもを保育園に通わせながら働ける職場を探していて、当社の立ち上げ当初に入社面接を受けました。限られた時間の中での勤務ということを理解してもらって、パート勤務として入社しました。入社して6年ほど経って3人目の子どもが生まれましたが、子どもがなかなか保育園になじまなかったときは、職場に連れてきたこともありました。
4人目の子がおなかにいた時は体調が思わしくなく、一時休職制度を利用したこともあります。正社員になってからも時短で働いたり、子どもが小さいうちは夜勤を免除してもらったり。当時のリーダーや社長にも相談に乗ってもらったことが「心の支え」になりました。

自分自身の経験で「こうしたい」と思ったことを、会社の制度に柔軟に反映させてもらったことで、ここまで続けられたんだと思います。一番下の子も9歳になり、手が離れました。今は、小さい子を育てているパート職員のサポートに回ることで、これまでに私がしてもらったことを返したいと思っています。同じ経験をしてきたからこそ、理解も共感もできるんでしょうかね。

管理職になってからは、外部の管理職研修などに積極的に参加させてもらっています。介護の世界に限らない、リーダーとしての心構えを勉強させてもらいました。また職場に介護労働安定センターの講師を招いて研修会を開催したり、職場全体で職員のスキルアップにも取り組んでいます。
そういう中で、若手職員にも向上心をもって、「私もやれる」と感じてほしい。若い人は控え目な方が多くて、自分からリーダーの立場を目指す方がなかなかいないのですが、みんな力を発揮できると思います。そのサポートは惜しみませんし、スキルアップが最終的に自分のためになると気づいてほしいですね。
自分の成長が見えてくる、それが人生の「宝」になると思うんです。

会社概要
ひいの邱の外観

 有限会社 エス・エイチ・シー

 〒814-0153福岡県福岡市城南区樋井川4丁目9番15号

 代表取締役 石橋 一成

 ホームページ(外部リンク)

 TEL:092-874-2000

 創業:1988年

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