長期的な視点で、ステークホルダー全体の恩恵につながる施策を

松村部長 三戸さん 太田副主任 樋口事務長

法人を設立して60年。現在地で50年以上、地域に密着した医療を提供している喜悦会那珂川病院は、約370名の職員のうち女性が8割を超える職場構成ですが、性別を問わず働きやすい職場づくりを目指しています。
平成20年1月に院内託児所「ゆりんこ」を開設し、25年11月には福岡県「子育て応援宣言事業所」県知事表彰を受賞するなど、病院をあげた取り組みが評価され、地域からの信頼にもつながっているといいます。
今回は、事務長の樋口広行さん、看護部長の松村真理子さん、平成30年度から看護副主任に就いた太田真央さん、看護師の三戸美咲さんから、それぞれの立場で見た「那珂川病院で働くこと」の特長やこれからの課題をお聞きしました。
皆さんのお話の中から、福利厚生の改善にとどまらず、長期休暇取得者が自宅でも学べるeラーニング制度や、職員が将来の働く姿をイメージできる教育・キャリアアップ制度、急な欠勤が発生しても他の部署から応援を調達する院内横断的な勤務体制など、さまざまな側面から現場の職員を支える仕組みが機能していることが分かりました。

働く環境を改善することが、地域社会からの信頼につながる

インタビューをうける樋口事務長

以前は当院も業界全体の傾向に漏れず、結婚・出産・子育てに起因する女性職員の離職が多い状態でした。この世代は、仕事のノウハウを習得してキャリアアップする時期にあたりますから、そのような職員を失うことは、経営の上でも解決急務の問題でした。
そこで平成18年に病院の増改築を行った際に、併せて就業制度の改革も行いました。また年に1回「職員満足度調査」を実施し、職員が持っている要望を汲み取る仕組みを確立しました。
満足度調査は、結果数値もさることながら、そこから汲み取れる次の改善のヒントが重要だと考えています。

ミーティングの様子

職員の要望から生まれた子育て支援策の例を挙げると、地域の幼稚園と提携して送迎バスに当院を経由してもらい、職員のお子さんに託児所から幼稚園へ通園できるようにしたことがあります。
お父さんお母さんはお子さんを連れて出勤し、託児所に預けてから勤務する。お子さんは託児所から幼稚園に通い、退園後も託児所で待って、仕事が終わった時間に一緒に帰宅することができます。

このような子育て支援策の実施は、コストがかかるのではと言われますが、離職率が下がったことは採用コスト・教育コストの低減に直結します。また職員に長く働いてもらえることは、地域社会からの信頼にもつながっています。「那珂川病院にはよく知った看護師がいる」と患者さんに安心してもらえるのです。
職員の働く環境を改善することは、経営に非常に大きな上方効果をもたらしています。

幅広い世代の職員のサポートが今後の課題。安心して働いて欲しい。

インタビューをうける松村部長

当院では、人材の定着のためには福利厚生の充実はもちろんですが、人材育成に力をいれるべきだと考えました。それまでは一律なテーマ研修を行っていたところを見直し、スキルや就業経験など、一人ひとりの段階に合わせた教育を行う施策を導入しました。
教育体制を整備したことで、個々の看護師に合った教育ができるようになり、看護学校からも信頼をいただいています。ここ3年ほどでは新卒の看護師が増えています。また、平成21年当時は看護部だけで17%ほどもあった離職率が、25年には6%まで低減でき、目に見える結果が出ました。
10年前は中途採用の看護師がほとんどで、同じような世代の職員が多い職場構成でしたが、長く働いてもらえる環境が整ったことで職員の年齢層が広がり、親世代の介護問題を抱えた職員が出てきました。介護休暇を取得する職員も出てきましたし、今後はそのサポートも課題になっていくと考えています。
そのようなサポートの一環という側面もありますが、臨床心理士を配置して、業務のことでも生活のことでもなんでも相談できる体制を整えました。

打合せする三戸さん

また意識高く仕事に取り組むあまり、中には、就業時間を超えてしまうスタッフもいます。これからは「仕事は大切だけど自分の生活も大事」というふうに、一人ひとりの意識改革にも取り組んでいかなくてはと考えています。自分を追い込んだ結果、仕事を続けられなくなってしまっては本末転倒ですから。
私自身も院内の制度を利用しながら、管理職での勤務と子育てを両立しています。現在は小学生の子供も、0歳児から院内託児所に預けたのですが、院内に子供がいるのは安心ですしちょっと様子を見に行くということができるんです。職員には、安心して仕事に取り組んでほしいと思いますね。
 

子育てしながら管理職にチャレンジできる職場

こどものお迎えにいく太田副主任

以前は大分で、急性期の大学病院に勤務していましたが、結婚を機に福岡へ移ることになったため、いったん退職しました。
まだまだ結婚前の職場で学んだことを活かして働きたいし、けれど子供を持つことなどを考えると急性期病院での勤務は難しいかな…と考えていたところ、那珂川病院には院内託児所もあり育児しながら働きやすい職場だという評判を聞いて、再就職を決めました。現在は2歳の子供を育てながら仕事を続けられていますから、この選択は正しかったと思います。
今年から副主任職に就き、これまでの仕事に加えて管理業務が増えたので、限られた勤務時間の中ですべてのタスクを終えるのは難しいという葛藤もありました。しかし同じようにやってきた先輩職員の励ましやサポートがあり、スタッフの理解や共感は本当に助けになります。
以前は就業時間外に研修を行うこともあったようですが、現在は管理職を引き受けることが職員の負担にならないように、職務の一環として管理職研修もプログラムされています。新人から経験者まで、さまざまな層の職員が増えたので、今後は管理職の立場でみんなが働きやすい職場を作りたいと思います。

仕事でも生活でも、将来像を描ける支援制度がある

笑顔でインタビューをうける三戸さん

私も結婚を機に退職し、福岡へ移住しました。再就職先はハローワークなどで紹介された職場よりも自分の目で見て選びたいと考え、様々な病院を調べた中で那珂川病院は子育て支援策や教育に力を入れていると知りました。夫が長く福岡に住んでおり、当院についても既知で「あそこなら大丈夫だろう」というふうに聞いたのも再就職を決めた後押しになりました。
今は緩和ケアに従事しているので、認定看護師資格を目指したいと考えています。同じ職場に、同様に当院からサポートを受けて資格取得した方もいるので、長い目で考えると私も取っておきたいな、と。半年は学校に通うことになりますが、勉強に専念できるのはありがたいですね。
それから子供が2歳になって落ち着いてきたので、二人目も欲しいと考えています。仕事にも生活にも、先を見据えた目標を立てられるのは、働きやすい職場と実際にキャリアアップを重ねているロールモデルがあってこそだと実感しています。

会社概要
那珂川病院の外観

社会医療法人喜悦会 那珂川病院
〒811-1345 福岡市南区向新町2丁目17-17
電話:092-565-3531
FAX:092-566-6460
ホームページ(外部リンク)
病院長:吉村寛志
開設:1961年

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